Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かわ

牛をつないだ椿の木

新美 南吉

Leggi 牛をつないだ椿の木 (かわ) di Niimi Nankichi (新美 南吉) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 75.647 caratteri · 155 schermate

Aozora Bunko

とっくみあいは、夕方までつづいた。おびはゆるみ、着物はだらしなくなってしまい、じっとりあせばんだ。

なんどめかに、久助君が上になって兵太郎君をおさえつけたら、もう兵太郎君は、ていこうしなかった。ふたりは、しいんとなってしまった。二町ばかりはなれた道を通るらしい車の輪の音が、カラカラときこえてきた。それが、はじめて聞いたこの世の物音のように感じられた。その音は、もう夕方になったということを久助君に知らせた。

久助君は、ふいとさびしくなった。くるいすぎたあとに、いつも感じるさびしさである。もうやめようと思った。だがもし、これで立ちあがって兵太郎君がベソをかいていたら、どんなにやりきれぬだろうということを、久助君は痛切に感じた。おかしいことに、とっくみあいのあいだじゅう、久助君は、一ぺんも相手の顔を見なかった。今こうして相手をおさえていながらも、じぶんの顔は相手の胸の横にすりつけて下をむいているので、やはり、相手の顔は見ていないのである。

兵太郎君は身動きもせず、じっとしている。かなりはやい呼吸が、久助君の顔につたわってくる。兵太郎君は、いったいなにを考えているのだろう。