Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

Leggi 狂い凧 (くるいだこ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 111.430 caratteri · 226 schermate

Aozora Bunko

「君というのは、実に因果な性分だね。君は齢をとると、きっと意地悪爺さんになるよ。おれが保証してもいい」

私は返事をしなかった。電熱器の薬罐から、二杯目の茶をいれて飲んだ。

「それで――」

ゆっくり飲み干して、私は訊ねた。彼は疲れたようにかるく眼を閉じていた。瞼の色がうすぐろかった。

「君の場合、ずっこけた時、弥次馬は集まらなかったかね?」

「集まらなかった。集まるもんかね」

彼はけだるく瞼をあけた。

「状況が違うよ。それに僕は美人じゃないし、中年男がずっこけただけの話だからね」

「腰、痛むかい?」

痛そうに体を動かしたので、私は聞いた。

「いや。腰じゃない。痛みは別に移ったんだ」

やはり矢木栄介はその時、すこし酔っていた。講義が済んで、同僚と安バーに行き、ハイボールを三杯飲んだのだ。同僚と別れて、バスに乗った。

夕刻近くで、バスは次第に混んで来た。車内の温度の高昇と酔いのために、栄介はねむ気をもよおして来た。頭をもたせてうつらうつらしている時に、車掌が停留所の名を呼んだ。彼ははっとして立ち上り、乗客を押し分けながら、入口に突進した。

停車時間が長引くので、若い女車掌は露骨なふくれっ面をしていた。