Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

Leggi 狂い凧 (くるいだこ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 111.430 caratteri · 226 schermate

Aozora Bunko

「涙が出たかい?」

「いや」

彼は溜息をついた。

「肉親の死というものは、そばに立合っていると、悲しみが集中して涙が出るが、城介の場合はそうじゃない。初めに手紙が来て、それから骨だろう。骨だって現地で焼いたものだ。死貌をおれは見ていない。実感がないから、悲しみは分散されるのだ」

「そんなものかな」

「それに名古屋まで苦労して出かけたわけだろう。こんなもののために、苦労させやがって、と言う感じが強かったね。むしろ加納という男から、写真を送って来た時の方が、真実感があった。ああ、こんなところに埋められているんだとね。でもふしぎなもんだな。おれはその加納の手紙に返事を書かなかった。書きたくないような気がしたんだ」

「城介君の骨のために苦労させやがった、と君は言うけれど、生きている時に彼は君に苦労させられたんだよ。君は葬儀屋の主人に金を借りて、戻さなかっただろう」

「ああ」

うめくように栄介は言った。

「よく知ってるな」

「城介君の日記にも書いてあるし、僕にもしばしばこぼしていた。兄貴は金銭的にもだらしがないってさ」

葬儀屋はある私鉄の駅から、だらだら坂を降り切ったところにあった。