Classici giapponesi con furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Leggi 狂い凧 (くるいだこ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 111.430 caratteri · 226 schermate
「電報は一昨日打ったんだぞ」
帰ったとたんに怒鳴られて、栄介は少々むっとした。しかし弁解の余地はないので、黙っていた。前庭に面した部屋で、福次郎の体はあおむけにされ、顔には白布がかけられていた。眼を泣きはらした母親から、いろいろ事情を聞いた。
白布の下には、福次郎の死貌があった。鬚も剃られ、皮膚の色も若干修正され、眠っているように見えた。おれは泣くだろうか。栄介は汽車の中でしばしばそう思ったが、現実の場にのぞむと涙は出なかった。彼は白布を元に戻した。
「栄介。親の死に目に会えないなんて――」
幸太郎は言った。
「お前は親不孝者だぞ!」
幸太郎も亢奮し、悲嘆していたのだろう。当り散らすことで、ごまかしていたのかも知れない、と後になって栄介は考える。
いろんな仕事があった。人が一人死ぬと、周囲の人は俄かに忙しくなる。生れた時は、ほとんど誰も騒いで呉れない。忙しがることで、気を紛れさすという人間の智慧なのか。
幸太郎は栄介が戻っても、一切の采配をふるっていた。栄介は幸太郎の指図で、役所に行き、用紙をもらって、医師を訪れた。死亡診断書をつくってもらうためだ。