Classici giapponesi con furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Leggi 狂い凧 (くるいだこ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 111.430 caratteri · 226 schermate
やはり自然が苛烈で、そうなるんだね」
「じゃ衛生兵も暇だろう」
「そうだね。患者が一人いた。川辺という軍曹だったが――」
そんな隧道に一日中閉じこもっていると、だんだん欝屈して来る。女気が欲しくなる。川辺軍曹は衝動的と言おうか無茶な性格と言おうか、思い立つと我慢が出来ない性分で、白昼でも裸馬を駆って砂漠をつっ走り、後方の部落に私娼を買いに行く。白昼なので、敵にねらい討ちにされる危険が充分にあるし、実際狙撃されたこともある。弾丸は当らなかったが、私娼から悪い病気をもらって来た。彼等は私娼のことをショウトルピーと呼んでいた。
「ちぇっ。あのショウトルピーの奴!」
口惜しがっても、もう遅いのである。川辺軍曹がこの分遣隊唯一の患者になった。加納の一日の仕事は、この川辺の治療だけであった。
「ちょっと見には温良そうなやさ男だったがね、気性は烈しかった。やくざによくあるような型ですよ」
あの病気はなかなか癒りが遅い。まだペニシリンなどない時分である。川辺はじれた。人骨を粉にしたのをのむと卓効がある、という話をどこからか聞いて来て、それを実行しようとした。半年ほど前、敵の密偵をつかまえて、射殺して土に埋めた。