Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

Leggi 狂い凧 (くるいだこ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 111.430 caratteri · 226 schermate

Aozora Bunko

あれは佗しく貧寒な光景であり、心境であった。

翌日汽車に乗り、四駅前で下車して、寺を訪ねた。幸い住職はいた。栄介は召集のことを話した。

「もし空襲が来るようになれば、おふくろや弟たちをここに疎開させていただけませんか」

栄介は頼んだ。彼は自分の身柄について楽観していたが、戦局の見通しにはかなり悲観的であった。住職は答えた。

「ああ。引受けたよ。安心して征っておいで」

一年余しか経たないのに、家の形相はへんに古びて見えた。門をくぐりながら栄介はそう感じた。家も人間もある程度の年月は生気を保っているが、衰え始めると急速に衰えてしまうものらしい。徐々にではなく、がたんと古びてしまうのだ。

「壮行会なんかやることはないよ」

栄介は母親に言った。

「盛大に送られてさ、それで即日帰郷になったら、恰好がつかないじゃないか」

「そうかい」

母親は心細そうに言った。

「でもお墓参りだけはして行く方がいいよ」

「それも済まして来たよ」

住職との会談の内容を、栄介は母親に説明した。いずれ敵機が飛んで来るような事態になりそうだから、その時は幸太郎に頼らずに、寺に相談するようにと、栄介は言を重ねて説いた。