Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

Leggi 狂い凧 (くるいだこ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 111.430 caratteri · 226 schermate

Aozora Bunko

家を出る時は緊張して青い顔をしていたが、今は明るい表情になっている。しばらく納戸に蟄居させられて不自由だったのに、今はさんさんたる日光の下で自由に動けるので、それが城介の気持を開放的にしたのだろう。

「うどんも当分食いおさめだからな」

「うどんなら東京にもあるだろう」

栄介は答えた。

「でも、食べてもいいな」

駅前に小さなうどん屋があった。そこののれんをくぐった。女中が二人の顔かたちを、ちょっと驚いた眼で眺めた。二人ともそのような視線に慣れていた。ふた児だな、という好奇の視線に。

「天ぷらうどんを二つ呉れ」

そして城介は大人ぶった声でつけ加えた。

「ついでに酒を一本」

女中が奥に入ったあと、栄介は城介に聞いた。小さな声で。

「お前。酒飲むのか。好きなのか?」

「いや。好きじゃない。いつか台所におやじの残り酒があったから、飲んだら顔がほてって仕方がなかった」

栄介は黙っていた。酒とうどんが来るまで、沈黙が続いた。酒をコップ二つに分け、にがそうに飲み干した。うどんに箸をつけながら栄介は言った。

「城介。お前、憂欝じゃないのか」

「何が?」

「東京にひとりで行くことだよ」