Classici giapponesi con furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Leggi 狂い凧 (くるいだこ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 111.430 caratteri · 226 schermate
壇の前には兵隊が整列し、遺族たちはその後に並ばされていた。椅子はない。立ったままである。彼は遺族の最後列に立っていた。整列するまでに時間がかかったし、またその儀式も長々と続いた。
「何だ。葬儀する者が葬儀されるなんて、へんなもんだな」
初めはそう考えていた栄介も、次第にじりじりと腹が立って来た。通知書を差出せば、引換えに遺骨を呉れると思っていたのに、こんなものものしい空虚な式につき合わねばならない。彼は心外であった。しかも夜汽車で来たので、昨夜はよく眠っていないのだ。
「長いですなあ。まだ終りませんかね」
隣に立っている鬚の生えた老人に、彼はそっと話しかけた。老人はじろりと彼を見たまま、返事をしなかった。老人の唇は寒さのために、紫色になっている。栄介も耳たぶに感覚がなくなり、洟がしきりに出た。もうこれ以上我慢が出来ないという心境になった時、やっと式が終った。
遺骨を受領したのは、それから一時間半後である。混んでいて、なかなか順序が廻って来なかったからだ。白布につつまれた箱を受取っても、彼に哀感は全然わかなかった。彼は不機嫌にそれを肩から前に吊した。