Classici giapponesi con furigana
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みちくさ
道草
Leggi 道草 (みちくさ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.812 caratteri · 293 schermate
彼女と話をした後の健三の胸には何時でもこういう述懐が起った。
その日健三は例の如く襷を掛けて戸棚の中を掻きまわしているこの姉を見出した。
「まあ珍らしく能く来てくれたこと。さあ御敷きなさい」
姉は健三に座蒲団を勧めて縁側へ手を洗いに行った。
健三はその留守に座敷のなかを見廻わした。欄間には彼が子供の時から見覚えのある古ぼけた額が懸っていた。その落款に書いてある筒井憲という名は、たしか旗本の書家か何かで、大変字が上手なんだと、十五、六の昔此所の主人から教えられた事を思い出した。彼はその主人をその頃は兄さん兄さんと呼んで始終遊びに行ったものである。そうして年からいえば叔父甥ほどの相違があるのに、二人して能く座敷の中で相撲をとっては姉から怒られたり、屋根へ登って無花果をいで食って、その皮を隣の庭へ投げたため、尻を持ち込まれたりした。主人が箱入りのコンパスを買って遣るといって彼を騙したなり何時まで経っても買ってくれなかったのを非常に恨めしく思った事もあった。姉と喧嘩をして、もう向うから謝罪って来ても勘忍してやらないと覚悟を極めたが、いくら待っていても、姉が詫まらないので、仕方なしにこちらからのこのこ出掛けて行ったくせに、手持無沙汰なので、向うで御這入りというまで、黙って門口に立っていた滑稽もあった。