Classici giapponesi con furigana
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みちくさ
道草
Leggi 道草 (みちくさ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.812 caratteri · 293 schermate
薄暗いばかりでなく小汚ないその中には先祖からの位牌が五つ六つ並んでいた。
「あの小さい奴がそうですか」
「ああ、赤ん坊のだからね、わざと小さく拵えたんだよ」
立って行って戒名を読む気にもならなかった健三は、やはり故の所に坐ったまま、黒塗の上に金字で書いた小形の札のようなものを遠くから眺めていた。
彼の顔には何の表情もなかった。自分の二番目の娘が赤痢に罹って、もう少しで命を奪られるところだった時の心配と苦痛さえ聯想し得なかった。
「姉さんもこんなじゃ何時ああなるか分らないよ、健ちゃん」
彼女は仏壇から眼を放して健三を見た。健三はわざとその視線を避けた。
心細い事を口にしながら腹の中では決して死ぬと思っていない彼女のいい草には、世間並の年寄と少し趣を異にしている所があった。慢性の病気が何時までも継続するように、慢性の寿命がまた何時までも継続するだろうと彼女には見えたのである。
其所へ彼女の癇性が手伝った。彼女はどんなに気息苦しくっても、いくら他から忠告されても、どうしても居ながら用を足そうといわなかった。這うようにしてでも厠まで行った。それから子供の時からの習慣で、朝はきっと肌抜になって手水を遣った。