Classici giapponesi con furigana
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みちくさ
道草
Leggi 道草 (みちくさ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.812 caratteri · 293 schermate
「何時伺ったら好いか御都合を聞かして頂きたいんですって」
健三はそれどころじゃないという顔をしながら、自分の傍に高く積み重ねた半紙の束を眺めた。細君は仕方なしに催促した。
「何といいましょう」
「明後日の午後に来て下さいといってくれ」
健三も仕方なしに時日を指定した。
仕事を中絶された彼はぼんやり烟草を吹かし始めた。ところへ細君がまた入って来た。
「帰ったかい」
「ええ」
細君は夫の前に広げてある赤い印の附いた汚ならしい書きものを眺めた。夜中に何度となく赤ん坊のために起こされる彼女の面倒が健三に解らないように、この半紙の山を綿密に読み通す夫の困難も細君には想像出来なかった。――
調べ物を度外に置いた彼女は、坐るとすぐ夫に訊ねた。――
「また何かそういって来る気でしょうね。執ッ濃い」
「暮のうちにどうかしようというんだろう。馬鹿らしいや」
細君はもう島田を相手にする必要がないと思った。健三の心はかえって昔の関係上多少の金を彼に遣る方に傾いていた。しかし話は其所まで発展する機会を得ずによそへ外れてしまった。
「御前の宅の方はどうだい」
「相変らず困るんでしょう」
「あの鉄道会社の社長の口はまだ出来ないのかい」