Classici giapponesi con furigana
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みちくさ
道草
Leggi 道草 (みちくさ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.812 caratteri · 293 schermate
「相場に手を出したのが悪いんですよ」
細君はこんな事もいった。
「御役人をしている間は相場師の方で儲けさせてくれるんですって。だから好いけれども、一旦役を退くと、もう相場師が構ってくれないから、みんな駄目になるんだそうです」
「何の事だか要領を得ないね。だいち意味さえ解らない」
「貴方に解らなくったって、そうなら仕方がないじゃありませんか」
「何をいってるんだ。それじゃ相場師は決して損をしっこないものに極っちまうじゃないか。馬鹿な女だな」
健三はその時細君と取り換わせた談話まで憶い出した。
彼はふと気が付いた。彼と擦れ違う人はみんな急ぎ足に行き過ぎた。みんな忙がしそうであった。みんな一定の目的を有っているらしかった。それを一刻も早く片付けるために、せっせと活動するとしか思われなかった。
或者はまるで彼の存在を認めなかった。或者は通り過ぎる時、ちょっと一瞥を与えた。
「御前は馬鹿だよ」
稀にはこんな顔付をするものさえあった。
彼はまた宅へ帰って赤い印気を汚ない半紙へなすくり始めた。
九十八
二、三日すると島田に頼まれた男がまた刺を通じて面会を求めに来た。行掛り上断る訳に行かなかった健三は、座敷へ出て差配じみたその人の前に、再び坐るべく余儀なくされた。