Classici giapponesi con furigana
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みちくさ
道草
Leggi 道草 (みちくさ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.812 caratteri · 293 schermate
ことに美くしいのは睫毛の多い切長のその眼のように思われた。彼らの結婚したのは柴野がまだ少尉か中尉の頃であった。健三は一度その新宅の門を潜った記憶を有っていた。その時柴野は隊から帰って来た身体を大きくして、長火鉢の猫板の上にある洋盃から冷酒をぐいぐい飲んだ。御縫さんは白い肌をあらわに、鏡台の前で鬢を撫でつけていた。彼はまた自分の分として取り配けられた握り鮨をしきりに皿の中から撮んで食べた。……
「御縫さんて人はよっぽど容色が好いんですか」
「何故」
「だって貴夫の御嫁にするって話があったんだそうじゃありませんか」
なるほどそんな話もない事はなかった。健三がまだ十五、六の時分、ある友達を往来へ待たせて置いて、自分一人ちょっと島田の家へ寄ろうとした時、偶然門前の泥溝に掛けた小橋の上に立って往来を眺めていた御縫さんは、ちょっと微笑しながら出合頭の健三に会釈した。それを目撃した彼の友達は独乙語を習い始めの子供であったので、「フラウ門に倚って待つ」といって彼をひやかした。しかし御縫さんは年歯からいうと彼より一つ上であった。その上その頃の健三は、女に対する美醜の鑑別もなければ好悪も有たなかった。