Classici giapponesi con furigana
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とおのものがたり
遠野物語
柳田 国男
Leggi 遠野物語 (とおのものがたり) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.063 caratteri · 79 schermate
一二
一三
警官がまだ棒を持ちてある時代のことなり。母親は男が捕えられ引き立てられて行くを見て、滝のように血の流るる中より、おのれは恨も抱かずに死ぬるなれば、孫四郎は宥したまわれという。これを聞きて心を動かさぬ者はなかりき。孫四郎は途中にてもその鎌を振り上げて巡査を追い廻しなどせしが、狂人なりとて放免せられて家に帰り、今も生きて里にあり。
○ガガは方言にて母ということなり。
一二 土淵村山口に新田乙蔵という老人あり。村の人は乙爺という。今は九十に近く病みてまさに死なんとす。年頃遠野郷の昔の話をよく知りて、誰かに話して聞かせ置きたしと口癖のようにいえど、あまり臭ければ立ち寄りて聞かんとする人なし。処々の館の主の伝記、家々の盛衰、昔よりこの郷に行われし歌の数々を始めとして、深山の伝説またはその奥に住める人々の物語など、この老人最もよく知れり。
○惜むべし、乙爺は明治四十二年の夏の始めになくなりたり。
一三 この老人は数十年の間山の中に独りにて住みし人なり。よき家柄なれど、若きころ財産を傾け失いてより、世の中に思いを絶ち、峠の上に小屋を掛け、甘酒を往来の人に売りて活計とす。