Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 152.696 caratteri · 310 schermate
爪に火を灯すと言いましょうか、三度の物も二度にして、十年越し、浴衣一枚買ったこともございません」
お浜は一生懸命さの中にも顔を赧らめました。着ている浴衣は、別れた母親譲りの品らしく、二三十年前江戸で流行った、洗い晒しの大時代物、赤い帯も芯がはみ出して、繕い切れぬ浅ましい品だったのです。
「そんなに金を溜めて、何をするつもりだったんだろう」
平次のような、宵越しの銭さえ持たない者には、烏金まで貸して溜める人間の心理が解りません。
「盲人の望みは検校でございます。眼が見えないばかりに、艱難辛苦して育った父さんは、人様に馬鹿にされる口惜しさが昂じて、一生のうちには、土に齧り付いても検校の位に上り、今まで馬鹿にした人達を、眼下に見てやろうと思い立ったのです」
「なるほどね」
「そのために配偶の私の母とも別れ、娘の私だけ引取って、母がその日の暮しにも困っているのを知りながら、十年越し仕送りもしませんでした」
「…………」
「二十年間、夢にも現にも、口癖にいったのは、――俺はきっと検校になる、どんな事をしても検校になる――と」
父親の恐ろしい執念は、お浜の口を通して、平次の身にも迫ります。