Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 152.696 caratteri · 310 schermate
弥三郎は、妙に自分の不安定な地位を考えさせられる頃から、体にも、恐ろしい症状があらわれ始めていたのです。
出入りの医者に診て貰って、それは、当時では癒りようのない病と知った時の、弥三郎の驚きはどれほどだったでしょう。医者の口から漏れるともなく、この事が家中に知れ渡ると、弥三郎はもう居ても立ってもいられない心持になっておりました。
親無し子を拾って、これまで育ててくれた大恩を思うと、このうえ越後屋に踏み止まって、家族に迷惑をかけることは、血をわけない間柄だけに、弥三郎には忍びないことでした。
その上、まだあまり悪くならぬうちに、お絹とも別れて、美しい記憶だけでも残そうというのが、せめてもの弥三郎の望みだったのでしょう。
全国の霊場を巡って、せめては後生を願おうといった、悲しい決心を定めると、佐兵衛の引止めるのも、お絹の歎きも振り切って、弥三郎は越後屋を飛出してしまいました。
それは三月ばかり前のこと、餞別に貰った小判の百両を懐中に深く秘め、編笠に面体を隠したまま、まず日頃信心する観音様の近くに陣取って心静かにうろ覚えのお経を誦しながら、――せめては後世を――と悲しくも祈っているのでした。