Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

Leggi 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.879 caratteri · 242 schermate

Aozora Bunko

子供はひとつ咳払いをして落着払ってこう言う。愈々今夜は豚箱だと私が矢庭に観念しかけると、警官は案外にもその時あっさりと「お引とめして失礼しました」と言い、見事なほど別れ際よくサッサと振向いて行ってしまった。

「君と一緒の時に限ってやられる。俺は一人でやられたことはないのだぜ」と私は癇癪を起して万事彼のせいにしたが、

「冗談じゃない。俺だって一人でやられたことは絶対にないよ」と大いに抗弁した。

二人連立つたびに頻りに訊問を受けたのである。

高木は屡々自殺を計って奇妙に幾度も失敗した。というのは、彼は週期的に精神錯乱を起す不幸な先天的欠陥があって、そのたびに異常に突きつめた世界へ走り、幾日も睡らず考え又書きつづけ、その手記を私の所へ送って自殺を計る。何回となくやった。私はとうとう友人の不幸な錯乱に不感症になってしまった。

ある朝新聞を読んでいると、信濃山中の温泉で或朝早く飄然出立した貴公子風の青年があり、あとで女中が便所の中に首くくりの縄の切れたあとを発見した。死にかけてから縄が切れて落ちたもので、床板の上には吐出した血だまりがあった。――その男の名が高木であった。