Classici giapponesi con furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Leggi 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.879 caratteri · 242 schermate
そのように考えることの必要が、必要すらも、欠けていたのだ。即ち、私は、すでに結婚を諦めていた。時に軽率な情念のそれをめぐって動くことをとめる術はないけれども、より深い、恐らく心意の奥底で、大いなる諦めを結んでいた。不動盤石の澱みの姿に根を張った石に似た雲のような諦念がある。それは一人の愛する女を諦めているばかりではなかった。より大いなるものを諦めていた。より大いなる物とは? それは私には、分らない。ただ、何物か、であるだけだった。そして、その大いなる何物かの重い澱みの片隅に、一人の女がいるだけのことであった。
私はむしろ、この明るいオッチョコチョイの女給をつれて、矢田津世子が一緒に行こうと云った山々、上高地や奥白根の温泉宿へ行ってみればよかったと思った。なぜであるかは分らない。それはどうでもよいことだ。私はただ、私をそこへ誘った矢田津世子は、だから、たぶん、ほかの男とはそこへ行きはしないだろうと、ふと考えた。然し、又、だから、たぶん、あるいは今ごろ、そこにいるのではないかと、とも考えた。とりとめもなく、ふと、思う。私は山を歩いている。穂高を、槍を、赤石を。