Classici giapponesi con furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Leggi 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.879 caratteri · 242 schermate
月給の半分は黄河の文献を買ってるのだからカンベンしてくれ、と私は内心つぶやいて私の怠慢を慰めていた。
私の住居は奇妙に焼残っていた。私は焼残るとは考えていなかったので、なぜなら私の住居は蒲田にあり、近くに下丸子の大工場地帯があって、ここはすでに大爆撃を受けていた。受けたけれども被害はたった一つの大工場とそのそれ弾の被害だけで、まだその外に十に余る大工場がある。一つの工場が二時間の爆撃だから、先ずザッと二十時間かと私は将来の爆撃にうんざりしており、そのそれ弾の一つや二つは私の家に落ちるものだと思っていた。
したがって私は昼間の編隊爆撃がこの工場地帯と分ったら五百米でも千米でも雲を霞と逃げだす算段にしており、兼々健脚を衰えさせぬ訓練までつんでおり、四米ぐらいの溝は飛びこすことも予定していた。
それほど死ぬことを怖れながら、私は人の親切にすすめてくれる疎開をすげなく却けて東京にとどまっていたが、こういう矛盾は私の一生の矛盾であり、その運命を私は常に甘受してきたのである。一言にして云えば、私の好奇心というものは、馬鹿げたものなのだ。私は最も死を怖れる小心者でありながら、好奇心と共に遊ぶという大いなる誘惑を却けることができなかった。