Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

Leggi 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.879 caratteri · 242 schermate

Aozora Bunko

二十三、四の青年で、見るから病弱そうなのが毎日この碁会所へきていたが、田町辺の工場の事務員で、ひどい反戦思想をもち、徹底的に軍の潰滅と敗北を信じ、共産主義を愛していた。純真な青年で、自分の利慾よりも、人を愛す魂をもっていた。いつかドシャ降りの雨のとき、自分の外套をどうしても私にきせ、自分は濡れて帰ろうとするのである。人を疑らず、人の苦しみを救うために我身の犠牲を当然とするこの青年の素直な魂は私は今も忘れることができない。

焼野原になった後で、偶然、駅で会った。青年は食事が充分でないらしく、顔はひどく蒼ざめており、焼跡のたった一軒のバラックの行列が寿司屋の行列であることが分ると、私に別れてその行列に加わりに去った。青年の家は焼けたのである。私はそのときよほどこの青年に私の家へきたまえ。部屋もたくさんあるし家賃などもいらないから、と言おうと思った。青年には一人の年老いた母があるのである。私はそれも知っていた。けれども言うことができなかった。この青年の魂が美しすぎ、私を信じすぎており、私はそれを崩すに忍びなかったからである。

私自身がギャングであった。