Classici giapponesi con furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Leggi 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.879 caratteri · 242 schermate
それどころか見えすいたお世辞を使ったり色々俗世間的な手管をかなり無反省に使駆する。私のような自意識過剰に悩む男は狂人よりも意識の表出を制限され内攻し偏執するとしか考えられない。彼の俗世間的な様々な手管が見えすいて、私はひどく腹が立ってきたのである。
友人のW君が目下神経衰弱で帝大病院へ通っているが、療法をきいて面白いと思った。医者は薬を与えない。毎日日記を書かせそれを提出させる。日記に批判を与える掛りがいて、ここの追求が足りないとか、ここは正しいとか朱を入れて返すのである。要するに潜在意識をさらけ出さしめ、それを隠すことによって精神を疲労せしめた原因を除去するのではあるまいかと私は愚考したわけだが、自分をさらけだし追求し反省するのは小説家の本道で、その意味では小説家は神経衰弱を通りこして一種の告白不感症に憑かれていると言ってよかろう。W君の場合にしろ要するに完全な私小説を書ききれば医者も文句が言えないわけで、嘉村礒多の小説でも帝大病院へ持って行ったら医者も辟易して朱筆を投げると思うのである。告白型という点で近代作家は狂人の塁を摩している。
私は狂人の俗人ぶりに腹を立て本が読みたいと言うので所持した数冊を置き残して病院を立ち去ったが、途中池袋で賑やかな街へ降りてみると寂寥から酒が飲まずにいられなくなった。