Classici giapponesi con furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Leggi 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.879 caratteri · 242 schermate
坊主の一人が屋根裏の梁に首をくくって死に、その部分だけ一間ぐらい切りとってある。この屋根裏は女中部屋だが、子供の僕は坊主のお化けが出るなどとおどされながらも梁から梁を渡って歩いて、あの建築に就て一向に暗い印象を持たないのである。
牧野信一の自殺した小田原の家、あの家にも暫く泊っていたことがある。お寺の隣で、前後左右墓地を通りぬけて出入するという家であり、彼が首をくくった子供部屋は三畳ぐらいの板敷きの日当り悪い陰気な部屋だが、一向に「死の家」という感じは残らぬ。
それらの家に比べれば、芥川家は高台の日当りの良い瀟洒な家で、屋根裏、病的、陋巷、凡そ「死の家」を思わせる条件の何一つにも無関係だが、僕にとっては陰鬱極まる家であった。葛巻の起居していた二階八畳の青い絨毯など特に僕の呪ったもので、あの絨毯の陰気な色を考えると、方向を変えて、ほかの所へ行きたくなってしまったものだ。この絨毯は、僕の記憶に誤りがなければ、芥川全集の最初の版の表紙に用いた青布の残りで、部屋いっぱい敷きつめると、汚れたような黒ずんだ青だ。実に陰鬱な絨毯だ、よしたまえよ、と言って、あの頃も頻りに呪って、でも君、葛巻少年、実際彼は少年貴族という感じであったが、そういう時には急にクスリと老人のような笑い方をして言葉を濁す習慣であった。