Classici giapponesi con furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Leggi 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.879 caratteri · 242 schermate
夜が明けてくれ。窓の下を誰か人が通ってくれ。誰でもいい、誰か来てくれ。希うことはそれ一つ。借金取の訪れでもよかった。戸が開く。借金取の声がする。アア助かった、嘘ではないのです、まったく恋人の訪れの如くイソイソと、とはいえ階段を一足降りるにもアルプスの崖をつまぐるていたらくで歯をくいしばり、四這いになって一足一足降りて行く。ただなつかしさで一杯だから、借金取のふくれッ面に向い合うと親愛の微笑が自然に浮び、歌うように借金の言訳をのべたてることのたのしさ。病中唯一の慰めはただそれだった。けれども、電燈の集金人がイキリ立って、電燈をとめてしまうといきまきはじめた時には驚いた。夜の光はイノチなのだ。之を消されてどうして生きていられよう。必死であった。僕が払う。何を売っても必ず払う。一週間だけ待ってくれ、とはいえ全く集金人が憎くはない、彼が訪う人であるというばかりでなつかしさには変りがないから、必死に叫ぶ僕の声がやっぱり歌声の如くたのしかった。借金取がひきあげ、戸が閉じ、跫音が去る。はりつめた力がぬけて板の間へヘタヘタ倒れ、暫くはまったく意識がなくなってしまう。