Classici giapponesi con furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Leggi 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.879 caratteri · 242 schermate
見覚えがあるかときくので無いと答えると、そうでしょう、僕のような平凡な男がお目にとまる筈はないのです。僕の一生など僕には分りすぎる程よく分っているのです。安サラリーマン、右にも左にも動く筈がないではありませんか。まだしも失業していないだけが不思議です。あの頃は青年の半分ぐらいが失業している時代であった。
十分か十五分だけ一緒にお茶をのむ時間を与えてくれ、と言うので、手近かな茶店で休んだのだが、彼がだしぬけに言いだした言葉は、あなたには美しい令嬢達のお友達が数えきれないほどお有りでしょうね。そうして、その令嬢達がみんなあなたに思いをかけているに相違ないことも知っています、という途方もない言葉であった。この男はそれを信じこんで返答の余地もない有様であった。あなたのように聡明闊達王者のような青年紳士に無数の美しいお友達が出来るのは当然で、自分はアテネフランセの末席から、あなたのようになりたいということをいつも考えていた。偶然一人でいらっしゃるのを見かけたので思わず呼びとめてしまったけれども、こうして十分か十五分一緒にお茶をのんでいただく光栄だけで充分なので、決して令嬢の一人に紹介していただきたいなどということは考えていない。