Classici giapponesi con furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Leggi 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.271 caratteri · 263 schermate
「あの、何を……。柳屋にいるお葉という女……。好い女だね。俺ア大好だよ。」
人か獣か判らぬような生活をしている此の青年にも恋は有った。彼は何日か柳屋のお葉を見染めたものと思われる。お杉は憫れむように我子の顔を見た。
一口に酌婦とは云うものの、お葉は柳屋の一枚看板で、東京生れの気前は好し、容貌も好し、山の中には珍しい粋な姐さんとして、ここらの相場を狂わしている流行児である。恋に間隔は無いとは云え、此方は宿無の乞食も同様で、山の兄弟分とも云うべき身の上では、余りに間隔が有り過ぎて、到底お話にも相談にもなる訳のもので無い。
けれども、それは普通の人の考える単純の理屈である。小児の時から人も通わぬ此の窟を天地として、人間らしい(?)のは阿母一人で、昔物語に聞く山姥と金太郎とを其のままに、山※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)や猿や鹿や蝙蝠を友としつつ、此に二十余年を送り来った重太郎自身に取っては、人間の身分や階級などは、何の値も無いものであった。彼は唯自己の情の動くがままに働くのである。彼がお葉を嫁に貰いたいと云い出したのも、決して不思議でも無理でもない。