Classici giapponesi con furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Leggi 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.271 caratteri · 263 schermate
「実に困るんです。どうか追攘って頂きたいもので……。」と、市郎も口を出した。
「よろしい。」と、巡査は首肯いて、「さあ、早く行け。他の迷惑になるのが判らんか。斯ういう所に何時までもぐずぐずしていると、道路妨害で引致するぞ。」
対手は相変らず平気で笑っているので、巡査も少し悶れ出した。
「こら、行けと云うのに……。何故ぐずぐずして居るのか。判らん奴だ。」
お杉の痩腕を掴んで一つ小突いたが、彼女は些とも動かなかった。見掛は枯木のようでも容易に倒れない、さながら大地に根が生えたように突ッ立っていた。巡査はいよいよ悶れて、力一ぱいに強く曳くと、彼女も流石に二足ばかり踉蹌いた。
「さあ、行け、行け。」
突遣っても又ふらふらと戻って来る。市郎も見兼ねて突き戻した。巡査も亦突き戻した。血気の男二人に、突き戻され、押遣られて、強情なお杉も漸次に後へ退ったが、やがて口一杯に啣んだ山毛欅の実を咬みながら、市郎の顔に向ってふッと噴き付けた。
市郎はあッと顔を押えながら、腹立紛れの殆ど無意識に、お杉の胸の辺を強く突くと、彼女は屏風倒しに撲地と倒れた。袋の山毛欅は四方に散乱した。