후리가나로 읽는 일본 고전
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
中村 清太郎의 ある偃松の独白(あるはいまつのどくはく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 132,905자 · 262화면
この北鎮の肩から旭岳の方へ進むと、中岳の下に無人の温泉がある。ここは実に無類の幽境だった。私は鮫島君に一日そこへ案内してもらった。八月半ばの霧風の強い寒い日だ。そこはピュウケナイ沢の源頭で、巨岩が群立する間に雪田があり、それが搾れて沢をなす辺の岩間から、温泉がこんこんと湧きでている。それを大岩を楯に、石の間に水苔を挾んで堤防を築くと、青磁色の湯壺が満々とたたえる。手早く服をぬいでふるえる五体をそこにしずめた時の気もちといったら……。せまい谷間は岩と霧にとざされ、聞えるものは永遠を歌う水声ばかり。これは人間のはいる湯ではなく、神か、でなければ鹿か羆の浴びる湯であろう。私は昔、劔の仙人ノ湯に浴した当時を思いおこした。私はうれしくてたまらなかった。湯はずいぶん高温だが、そばの水流で調節は自在だ。石面に薄い湯花がよどみ、口にふくめば苦味が強い。この霊泉は知る人も少ないらしく、鮫島君が前からくわしいので、同君が延齢草の遺伝学的研究家であるのにちなんで、私はたわむれに「延齢ノ湯」と呼んでみた。
愛山渓は深林にかこまれ、安足間川の源流、巨大な蕗や虎杖に埋もれた仙境である。