후리가나로 읽는 일본 고전
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
中村 清太郎의 ある偃松の独白(あるはいまつのどくはく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 132,905자 · 262화면
温泉宿は、川を直上にへだたる、およそ二十間ばかりの山腹にあり、なによりもまず前山が鼻先きに壁立して、グイと胸を圧されるばかりのいきおいに、気を奪われてしまう。しかも直下の谷水は、ろくろく眼には入ってこないのだ。山奥の温泉宿というものに、なんらか予想を抱いてくるほどの旅客なら、かなりよく黒部川を想像し得た場合でさえ、事があまりに意表に出ているため、多少の幻滅感を抱かないではすまないかもしれぬ。だが、待ち給え、それは一時の話にすぎない。落ちついた心で四辺を見廻すにつれ、やがてどんな想像も及ばなかったほどの「善いもの」が、いかに自分を取りまいているか……それに初めて気がついて、膝を打つにちがいない。
ちょうどここは、大蓮華の側壁百貫山と、三名引、毛勝の裾山とが、すれすれに額を突き合せた、その狭い廂合わいに当るのだ。欅、桂、栂、姫子、黒部杉、楓、楢など、針葉闊葉の大樹が、山壁のどんな処までも生いすがって、上へ上へと累積し、峯の極まるあたりは、浅い軒廂のなおこなたにあって、柱を捉えて首を伸ばして、初めてようやく、天心巻雲のなびくほとりに、その頂きを突き入れているのが見られよう……。