후리가나로 읽는 일본 고전
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しゃんはい
上海
横光 利一
横光 利一의 上海(しゃんはい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 145,628자 · 292화면
またその一方の道からは、黄包車の素足の群れが乱れて来た。角の交通整理のスポットが展開すると、車輪や人波が真蒼な一直線の流れとなって、どよめき出した。参木の馬車は動き出した。と、スポットは忽ち変って赤くなった。参木の行く手の磨かれた道路は、春婦の群れも車も家も、真赤な照明を浴びた血のような河となって浮き上った。
二人は馬車から降りるとまた人込の中を歩いた。立ったまま動かない人込みは、ただ唾を叶きながら饒舌っていた。二人は旗亭の陶器の階段を昇って一室に納った。テーブルの上には、煙草の大きな葉が壺にささったまま、青々と垂れていた。
「どうだ、お杉さん。あんたは日本に帰りたいと思わんか。」
「ええ。」
「もっとも今から帰ったって、仕様がないね。」
参木は料理の来るまで、欄干にもたれて南瓜の種を噛んでいた。彼は明日から、どうして生活をするのかまだ見当さえつかないのだ。だが、そうかといって日本に帰ればなお更だった。どこの国でも同じように、この支那の植民地へ集っている者は、本国へ帰れば、全く生活の方法がなくなってしまっていた。それ故ここでは、本国から生活を奪われた各国人の集団が、寄り合いつつ、全くここに落ち込んだが最後、性格を失った奇怪な人物の群れとなって、世界で類例のない独立国を造っていた。