후리가나로 읽는 일본 고전
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
吉川 英治의 剣難女難(けんなんじょなん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 243,807자 · 482화면
四
四
浜町菖蒲河岸の御船御殿というのは、将軍家船お成の節に、御台所づき大奥の女中たちが、よそながら陪観するお数寄屋であったが、いつからか、そこにあでやかな一人の貴婦人が棲むようになり、侍く老女や、多くの腰元たちと共に、佃、品川の海の眺めを静かに、小さな女人国とも云える――大きな女世帯とも云える、不思議な、生活を営んでいた。
棲む人の色と共に、家の名も変って、お船御殿の名は、誰云うとなく、菖蒲御寮と呼び慣わされて来たが、その寮の主、切下げ髪の美しい女性が、そもそも、何人であるか、どういう素性の貴人であるかを、好事癖の江戸の人が、今に至って知らないというのも、これまた不思議の一つと云えよう。
そのくせ、御方のまばゆい姿は、堺町の勘三郎芝居の御簾のかげ、浅草寺の四万六千日、愛宕の花見幕、綾瀬の月見、隅田の涼み船と――ほとんど、江戸人行楽の盛り場という盛り場で、見かけないという例しがないほど、平民的である。にもかかわらず、その豪奢を見つつ、奉行所の眼も光らなければ、借りたおされた鼈甲屋呉服屋があるということも聞かず、ましてや、由縁もない町人風情が門扉のうちを知るよしもなかった。