일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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はるかなたび

原民喜戦後全小説

原 民喜

原 民喜의 原民喜戦後全小説(はるかなたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,577자 · 124화면

아오조라 문고

彼は自分の眼をいぶかるように、ひだるい山の上の空を眺めることがあった。空がひだるいのではなかった、どうにもならぬ飢餓の日々がつづいていたのだ。こおろぎのように痩せ細って行く彼は、自分の洗濯ものを抱えては小川の岸で洗った。やがて冬になると、川水は指を捩ぐほど冷たくなった。彼の掌は少年のように霜焼で赤くふくれ上った。火の気のない二階で一人ふるえながら、その掌を珍しげにしみじみ眺めた。暗い村道の上にかぶさる冬空に、星が冴えて一めんに輝いているのも、彼の眼に沁みた。浅い川の細い流れに残っている雪も、彼の胸底に残るようだった。が、いつまでもそんな風に、その村でぼんやりしていることは許されなかった。兄や姉は彼に今後の身の処置をたずねた。『あなたも長い間、辛苦したのかもしれないけど、今日まで辛苦しても芽が出なかったのですから、もう文学はあきらめなさい。これからはそれどころではない世の中になると思いますよ。』そう云ってくれる姉の言葉に対して、彼はただ黙っているばかりだった。

翌年の春、彼は大森の知人をたよって上京した。その家の二階の狭い板敷の一室に寝起するようになったが、ここでも飢餓の風景はつづいた。