일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

吉川 英治의 大岡越前(おおおかえちぜん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 218,436자 · 437화면

아오조라 문고

見ると、その手に幾枚かの小判がのっている。そして、血の気のない唇は、

(これを上げるから助けて……)と、声なくいっているようだった。

市十郎の頭の中には、ぼやっと、お袖とわが子の姿が、夢みるように、そのまま映っていた。

お袖とわが子を、ふと思い出したことは――彼自身がハッと我れの一部を取り戻したことでもあった。

彼は、自分を、オヤ? ……と怪しんだ。

――自分は今、どこへ来ていたのか? ――と、いぶかッた。そして、何を、行為しようとしているのかとも、瞬間に考えた。

まッ暗な冥府の底に落ちて、もがき嘆いているような亡霊が自分のように感じられた。彼は、両手で顔を蔽った。――眼のまえの女と乳呑み児を、見るにたえないでそうしたのか、こみあげてくる泣きたさを抑えたのか、彼自身にもわからなかった。

「あっ、金ッ。金じゃねえか。……ええばかめ、なぜ早くその金を、こッちへ取らねえか」

うしろへ来て、小判を見た大亀は、いきなり市十郎を突きのけて、餌にかかる野獣のように飛びついた。

女は、咄嗟に、小判を投げだして、子を抱きしめ、

「助けてーッ」と、俯ッ伏した。

市十郎は、その上へよろめき倒れ、大亀は、散らばッた小判を、無我夢中で拾いかけた。