후리가나로 읽는 일본 고전
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
吉川 英治의 大岡越前(おおおかえちぜん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 218,436자 · 437화면
そしていいにくそうに、蕎麦屋の屋台行燈の下へ、例の印籠をひょいと出した。
「蕎麦屋さん。実あ、金はないんだよ。これを抵当に、もう一杯喰べさせてくれるかい」
「え、何です、これやあ……」蕎麦屋は、じっと、手にも取らず見ていたが、
「これやあ、紀州様の御紋章つきの印籠じゃございませんか」
「そうだよ。盗んだ物じゃあない。堺町の抜け裏で、紫頭巾をなすった立派なお若衆からいただいたんだ」
「へえ、なるほど、それじゃあ嘘ではありますまい。あのお若衆は、赤坂のおやしきからよくお微行で町へお出でなさる紀州様のお三男、徳川新之助様だってえ噂ですからね。……が、どうして印籠なぞを、お前さんたちにくれなすッたろ」
「この子のおもちゃに抛って下すったんだ」
「そうですかねえ。そんな気まぐれもなさるかもしれない。何しろ変った御曹司ですよ。――つい、この間もね、こんなことがあって、それからあのお若衆が、紀州大納言様の三男で、まだお部屋住みの新之助様だってことが、初めて、あの界隈にわかったんでさ」
と、蕎麦屋は煙管に一ぷくつめて、天秤棒にもたれながら話しだした。
やはり柳沢閥の、さる老中の息子らしく、これも微行姿で、よく堺町へ来るが、いつも大自慢の土佐犬を、銀の鎖でつなぎ、わざと、盛り場の人混みを引きあるいていた。