후리가나로 읽는 일본 고전
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
小出 楢重의 小出楢重随筆集(ならしげざっぴつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 334,351자 · 657화면
上海や香港も暑かったが汗が直ちに空気と化す如く思えて、やるせなき暑さではなく心は常に晴々としていた。要するに日本の夏位汗を絞り出す空気はないようだ。殊に九月の初め頃の残暑の汗は、油汗といって皮膚の表面は重油を塗られた如くべっとりとして、終日乾燥しない傾向がある。悪性の汗だ。その重油の皮膚へ当る初秋の風の冷たい触感は情なくも憂鬱だ。その悪性の汗を夕方の一風呂によって洗い清める幸福はいい加減な恋愛よりは高雅な価値がある。
しかし汗もいわゆる軽く汗ばむという言葉の如く汗ばむ事は、人間の心を妙にときめかす力がある。そして男女の肉体の香気を秋よりも冬よりもむしろ春よりも実際的な力を以て立ちのぼらせる傾向がある。
仲秋の月は鋭く冴えて清潔だが、少々気候が寒過ぎはしないか。月見に誘われて船の中で寒気のために固くなって帰った経験はしばしばある。私は殊に貧血性だから。
本当に私に適当な月は、八月の盆の頃の月である。物干しへ出て寝ころびながら、月面の穴に見惚れ、そのうち自分がその穴へ這入って見たり出て見たり、最も高く銀色に輝く頂点へ立って見たりしていても、決してその莫迦らしき想像を冷却すべき寒気がない。