일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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あきかぜとはは

尾崎士郎短篇集

尾崎 士郎

尾崎 士郎의 尾崎士郎短篇集(あきかぜとはは)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 108,032자 · 216화면

아오조라 문고

空には高射砲の煙が白綿の塊りみたいに、ふわりふわりと柔かそうにうかんでいる。時計を見ると二時十分であった。――サン・ニコルス飛行場のある方角からは濛々と黒煙りが渦を巻いてのぼっている。ときどき遠雷のような唸りが、キャビテ(軍港)の方角から聞えてきた。マッキンレー兵営のある地点からも黒煙がすさまじい勢いでのぼりはじめた。

午前中に市内の各地をひと廻りしてきた相川の話によると、マニラ全市の交通はほとんど杜絶し、大通りの両側を埋める商店はやっと潜り戸一枚だけをあけている程度で、通行人はひとりもなく、まったくがら空きになってしまった様子で、邦人商店は一つ残らず戸を破られたり硝子を敲き割られたりして、掠奪の跡がさらけだされている。

マニラに二回目の空襲があってから、監視兵の警戒が急に厳重になった。門前では米兵も交って、あたらしく機銃が据えられ、邦人を見る彼等の眼にはとげとげしさが沁みついてきた。この日から収容所長の注意で、庭内の散歩が禁じられ、刃物、懐中電灯の類は全部没収の上、衛兵に交附された。あたらしい警防員が交代して不寝番に立つことになったので、私はやっと夜警をしなくともいいことになった。