후리가나로 읽는 일본 고전
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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
尾崎 士郎의 尾崎士郎短篇集(あきかぜとはは)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 108,032자 · 216화면
よれよれの浴衣を着た彼が低い机の前に屈んでいたからである。そのうしろ姿はいかにもこの部屋の空気に相応わしいものであった。私は慌てて踵をめぐらし、暗い階段を下りていったが、たった今瞳にうつった情景を忘れることができなかった。薄暗い室の中に、躬動きもしないで坐っている彼の姿は何事かの祈願を凝らしている人のようであった。彼が首を屈めている低い机の上には黒ずんだ一匹の玩具の馬が立っていた。それが何を意味するのかということについて考える前に、私は思いがけない人間の秘密に触れたような気がしたのだ。私は一ト月ほど前彼と二人で北京路の淋しい裏通りを歩いていた。そのとき彼が、ある古道具屋の店頭で、さまざまながらくたの中からこの馬を拾いあげたのである。彼はうれしそうに五、六枚のドンペイを投げ出して、この馬をうけとると、それを掌の上にのせて私に話しかけた。
「素敵に縁起がいいです。――私にはね、この馬の前脚が一本折れていることが、すっかり気に入ったんです。若し今度の競馬に当ったら私は金の前脚をつくってやりますよ」
中年の相場師はほがらかに、しかし、自信に充ちた、つつましやかな低い声で言った。