후리가나로 읽는 일본 고전
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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
尾崎 士郎의 尾崎士郎短篇集(あきかぜとはは)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 108,032자 · 216화면
「あなたは以前には僧籍に身を置いたひとですから、せめて最後の際だけでも念珠を手にかけられては、――」
とたずねますと、
「そうですね」
と言ってからしばらくのあいだ黙って考えこんでいる様子でしたが、わたくしが手にかけた念珠をわたそうとしますと、慌てて手をふりながら、
「やっぱりよしましょう」
と言われるので、「それはどういうわけで?」
と、かさねてききかえしますと、
「念珠をかけてみたところで、どうせ浮ばれるわけじゃなし――」
とささやくような低い声で言ってから淋しそうな顔を見せて、どんなに典獄がすすめても、テーブルの上の蜜柑や羊羹には手もふれず、番茶一杯啜ろうともしないでぼんやり立っていましたが、さすがに禅門で鍛えた坊さんらしい静かなかんじでございました。そのつぎが、鍛冶屋の木村良作で、それから新辺、北村、河島、秀岡、ほかのひとの名前はわすれましたが、そういう順序であったと思います。木村はその日極度に昂奮していて、典獄の顔をみると挑みかかるような態度を示したので、看守が二、三人でやっとおさえつけました。新辺はずっと以前には田舎の新聞記者をしていたことのある、文芸に趣味のある男で、そういうたしなみのあるせいでもございましょう、しきりに辞世の句を詠もうとして努力していた様子でした。