후리가나로 읽는 일본 고전
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
中村 清太郎의 ある偃松の独白(あるはいまつのどくはく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 132,905자 · 262화면
熊、熊! と山人たちが指さしする。それをたどると、今登ってきた谷の一方、南をうけた青草の傾斜に、一点の黒い影が見つかった。しかし自分で熊――と合点がゆくまでには、少し手間がとれた。鉄砲の名人だという助七は、今度得ものを持ってこなかったことを、しきりにくやしがる。――あしこを、こう這んで行って……あの辺からドンとやれば……などと、雪の上へ荷をすてた二人は、膝を折って、手まねで鉄砲を構えながら、おかしいほど夢中で、しかし大真面目で、すっかり熊に気を奪われた恰好だ。黒い動物は、一所懸命に草を食っているらしく、ちょっと姿が隠れたかと思うと、又首をもたげて、見廻す風に左右に振っては、又草間へ身を埋めて、余念のないさま、まったく何のかかわりもない、自由な姿なのだ。腹が満ちたりると、下の方の黒木の中へ入って寝ては、又空き腹を抱えて、「草つき」へ出てくるのだと言う。
この辺一帯は、黒部でも最も獣の多い処だそうな――祖母谷と猫又谷との間い尾根、不帰岳の三角点附近がその中心だ。助七が冬の羚羊狩りの小屋を打つという『猫の躍り場』はそのあたりで、助七が指さす尾根の上に、小池のある少しばかりの平らが見え、一面に青草――うまそうな――の心持よく茂った斜面に囲まれている、いかにも獣のすみよさそうな楽園めいた趣きだ。