후리가나로 읽는 일본 고전
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
吉川 英治의 剣難女難(けんなんじょなん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 243,807자 · 482화면
二
二
ここ、めきめきと、江戸市井の中に、男を売り出した一人の遊侠がある。姿は、唐犬額の伊達とは違って、黒羽二重の紋服に、業刀らしい二本の大小、りゅうと長めに落して、いつも二人の乾分を連れ、深編笠の目堰から、チラとのぞける面ざしは絶世の美男子、それでいて剣法は上手、喧嘩と云えば弱きを助け、盛り場、賭場では金切れが綺麗、まず武家侠客の上品無類と、浮気な女にまで持て囃される。その名は御曹子の新九郎。
品が好くて、腕が冴えている、というところから、異名が通ったものらしい御曹子――それは春日新九郎だった。
「天才ほどあてにならないものはない」と世人は云う。けれど本当は、「世に天才ほど怖ろしいものはない」という方が至当らしい。独り剣道のみならず、画家であれ、彫刻師であれ、大工であれ、商人であれ、学者であれ、その天稟をうけた者ほど、一面、悪い方へ転落すると、はてしもない奈落へ墜ちる。
寮の御方の手にかかってから、新九郎の心持はどうやら、その悪い方向へ、急転直下に変りはじめた。光子の御方はまた、自分の快楽の為に、一念に、新九郎を堕落の淵へ淵へと導く。かれが大望を忘れて、放縦救うべからざる人間になり切るのを、御方はひたすら望んで熄まぬのである。