후리가나로 읽는 일본 고전
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
吉川 英治의 剣難女難(けんなんじょなん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 243,807자 · 482화면
三
横鬢へかけられた痰を拭いて、よろりとまた立ち上がった時には、さすがに生色がない。刀を鞘に納め、まだ幾分の千鳥足で、無言のまま、あてなき道をどこへ行く気か、一歩一歩重そうに運んでゆく。
まったく、新九郎の足は、西へ向けても東へ向けてもあてがない、希望がない。ただ一つの隠れ家である菖蒲の寮へも、今は帰ることのできない事情がある。そこには、御方が怖ろしい嫉妬を燃やして彼を待ち構えている。
この春さき、こんがらとせいたかの為に助太刀して、臂の久八と投げ槍の小六を討った夜、新九郎は大月玄蕃を追いかけて行ったが、遂に姿を見失ってしまったので、再び柳原土手へ引っ返して来てみると、そこには、せいたかの死骸だけあって、もう人影はなかった。
で、その夜、何食わぬ顔をして、菖蒲の寮へ帰ったが、御方の凄まじい嫉妬にいたたまれず、彼は、隙を狙って寮を逃げ出した。
逃げだしたが、一度、御方の甘い香にふれ、お延の濃艶に蝕まれている新九郎は、到底、その淋しさに耐えなかった。
そこで、酒だ、酒だ、すべてを忘れるものは酒だ、と物狂わしく飲みつづけて、侠客出入りの部屋から部屋を転々としているのが今の境遇。