후리가나로 읽는 일본 고전
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
吉川 英治의 剣難女難(けんなんじょなん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 243,807자 · 482화면
苛責の遠音痴蝶の隠れ家
一
「何ですか、大層奥が混んでいる様子、席が空いているかどうか、ちょっと様子を見て参ります」
「いやいや、それまでには及びませぬ」
と、重蔵が止める声を聞き流して、千浪は小走りに飯屋の奥をのぞいてきた。
「大儀でござった……」
と、重蔵がふと見ると、天蓋の裡の千浪の顔は、どうしたことか、ただならぬ色をして、息さえすこし弾んでいた。
「どうなされた、気分でも悪くなられたか」
「いいえ、重蔵様、早くこちらへ」
千浪は、気忙しなく眼を配って、何も言わず、重蔵の袖を引いて砂利場の蔭へ身を隠した。
苛責の遠音痴蝶の隠れ家
一
日蔭の身に離されぬ面隠しの笠を眉深にして、頤の紐を結びながら、今、神田濠の茶屋をスタスタ出て行ったのは大月玄蕃だった。
砂利場の蔭に身を潜めていた千浪は、その時そッと重蔵の袖を引いてせした。――碓氷峠以来何年ぶりかであきらかに見る仇の姿――重蔵は思わずあッと出る声を押えて、千浪にうなずき返すや否、無言のままタッタと後を尾行だした。
と言っても、重蔵は例の跛行なので、ややもすると蹌めくようになる。それを心なき往来の者は指差して笑っていた。しかし彼自身は一心一念、苦痛も見得も何物も顧みる暇はない――片足を無理に急がすおかしさはその時かえって涙ぐましいものだった。