일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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はるかなたび

原民喜戦後全小説

原 民喜

原 民喜의 原民喜戦後全小説(はるかなたび)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 60,577자 · 124화면

아오조라 문고

床屋を出て大森駅前の道路に出ると、時刻は恰度二年前の臨終の時だった。坂の両側の石崖を見上げると、白い空に薄が雨に濡れていた。白い濁った空がふと彼に頬笑みかけてくれるのではないかと思われた。彼は買って戻った梨と林檎(そんなものを買えるお金の余裕もなかったのだが)を石油箱の上において、いつまでも見とれていた。

おまえはいつも私の仕事のなかにいる。仕事と私とお互に励ましあって 辛苦を凌ごうよ。云いたい人には云いたいことを云わせておいて この貧しい夫婦ぐらしのうちに ほんとの生を愉しもうよ。一つの作品が出来上ったとき それをよろこんでくれるおまえの眼 そのパセチックな眼が私をみまもる。

その二階の窓から隣家の庭の方を見下ろしながら、ひとり嘆息することがあった。あそこには、とにかくあのような生活がある、それだのにどうして自分には、たった一人の身が養えないのだろうか。彼は行李の底から衣類をとり出して古着屋へ運んだり、焼残ったわずかばかりの書籍も少しずつ手離さねばならなかった。日没前から電車に揉まれて、勤先の三田の学校まで出掛けて行く。焼跡の三田の夕暮は貧しい夜学教師のとぼとぼ歩くに応わしかった。