후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 200,314자 · 398화면
竜之助は、この田圃道を通って見ると、その垣根のところに黒い人影がある――夏の夕ぐれはよく百姓たちが田の水を切ったり、または漁具を伏せて置いて鰻や鰌などを捕るのであるから、大方そんなものだろうと思うと、その人影は、垣根の隙から庭の中を一心に覗いていたが、どう思ったか、人丈ほどな垣根を乗り越えて、たしかに中へ忍び入ろうとします。しかも穏かでないことは、あまり目立たない色の手拭か風呂敷を首に捲いて面をつつんでいることであります。
竜之助は近寄って、何の雑作もなく、いま中へ飛び込もうとする足をグッと持って引っぱると、たあいもなく下へ落ちました。
落っこちた男は、
「この野郎」
いきなりに竜之助に武者振りついて来たのを、竜之助は無雑作に取って、田の中へ投げつけた。
投げつけられても、稲の茂った水田の中ですから別に大した怪我はなく、暫らくもぐもぐとやって、泥だらけになって起き返ると、
「覚えてやがれ」
田の中を逃げて行きます。
小盗人!
もとより歯牙にかくるに足らず、竜之助は邸へ帰った時分には、そんなことは人にも話さなかったくらいですから道で忘れてしまったものと見えます。