후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
尾崎 士郎의 尾崎士郎短篇集(あきかぜとはは)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 108,032자 · 216화면
このテーブルにも椅子にも、かつてこの室の中に住んでいたにちがいない多くの未知の人たちの過去が影を潜めている。そういう感じは異常な速さで私の心の中にひろがってきた。すると、今までテーブルの置いてあった隣室との境目の壁にかけてあった小さい額縁の中の古ぼけた石版画が、急にがらんとした空虚な壁の平面に一つの存在を示しはじめた。私はこの額縁がこの柱の上にかけられているということに今まで全く注意を払ったことがなかったのだ。美しい花の咲いた高原の上をたてがみをならべた二頭の馬に跨って睦まじそうに語り合っている二人の男女の姿が描かれていたが、しかし、このありふれた石版画すらも不幸な人間の運命を象徴するよりも以上の何ものでもないという気がしてきたのだ。すると、笑い興じているらしい男女の顔までが、私には急に堪まらなく憂鬱なものに思われてきた。花の咲いた高原の上には果しなく拡がってゆく不安があった。そして愛慾の疲れた旅を続けてゆく二人の男女の憂鬱が惨めな私の回想の中から現われてきたのだ。私はこの石版画の前に立っていることが苦しくなり急いで額縁を外して戸棚の中へ投げ込んでしまった。