후리가나로 읽는 일본 고전
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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
尾崎 士郎의 尾崎士郎短篇集(あきかぜとはは)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 108,032자 · 216화면
間一髪のところで民衆とのあいだに大きな溝の出来あがってしまったことが今となると急に惜しいことのようにも思われ、変化の行末を見届けたという気もちが、もう一度あたらしい幕のひらくのを待っている民衆のざわめきの中に何時のまにかまぎれこんでいる自分の姿をかんじさせるのであった。謄写版刷になった報道が入ってくるごとに伍一は一つ一つ丹念に眼をとおしていったが数時間のあいだにじりじりと攻勢から守勢にしりぞいた青年将校の動き方には一つのことをやり終せたという落ちつきがあらわれ、それが知らぬ間に彼の心の中で空虚な、白けた敗北的なかんじに変りかけていた。全国から若い同志が民間の情熱をすぐって立つという最初の予想さえも次第次第に影のようにうすれかけているのである。夕方そこを出た伍一が、その夜の結婚披露の宴席である東京ビルデングの地下室にあるレストランの扉をあけたときにはもう控室は半数以上の来会者で埋っていたが、彼が入ってゆくと、
「よう、鷺野!」
と隅の方から太い声が聞え顔じゅう髯だらけの男が煙草をくゆらしながらゆっくりと立ちあがった。どきっとして見あげると二十年前、彼が社会主義青年であった頃の同志の一人で今はある右翼団体の頭目として幅を利かせている帆上佐久良であった。