후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 200,903자 · 400화면
表御堂の広縁や客殿の高欄のあたりからは、それへ向って、叫ぶ風そのままな矢唸りが吹いて来る。距離は弓に有利な矢ごろであったが、矢の多くは武者に中らず、土を掘り、地を辷り、或いは遠く築土に刎ね返った。
その中に、寝衣一つで、或いは半裸体で、しかも得物も持たず、やらじと甲冑の敵に組みついている猛者も見えた。これらの番士は非番の暇を得て、夏の夜の暑さに心からくつろいで寝ていた者どもであったが、その出遅れを恥じてか、ほとんど、体当りの勇気だけで、明智の武者をいささかなりと食い止めんものと、死力を発していた。
しかし防ぐべくもあらぬ鉄甲の怒濤はすでに、伽藍の大廂の下までひたひた迫り襲っている。
いちど室内へ駈けもどった信長は、白綾の小袖の上に、大口の袴を穿ち、奥歯を咬むほどな力で、その紐を結んでいた。
「弓を。弓をっ」
そのあいだに、二度三度、こう求めて、誰やらがひざまずいて、眼の前に捧げる弓を、引っ奪くるように掴むや否、
「女どもは落ちよ。女は遁れてゆくも苦しゅうない。足手まといになるな」
と、云い捨てて妻戸の外へおどり出た。
彼方此方、踏みやぶる戸障子の物音をも衝きぬいて、女たちの泣きさけぶ声、呼び交う悲鳴が、一層、ここの揺れる甍の下を凄愴なものにしていた。