후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면
石川、石川兵庫介、あの人には柔術を習っている。やわら。番所へはゆけない、逃げなければならない。みんなにこのあさましい事実を知られてはならない。逃げよう、教えられた柔術が役に立つかもしれない。やってみよう、と新八は思った。
かれらは西へ向かっていた。和泉橋のほうへゆくらしい、街は灯もみえず、ひっそりと暗く寝しずまっていた。新八は突然、前をゆく男に躰当りをくれた。その男はのめって、提灯が手から飛んだ。あっという声が聞え、新八は右手の横丁へ走りこんだ。叫び声と、足音が、すぐうしろから追って来た。
――町木戸を除けろ。
走りながら彼は思った。足が重く、耳の中が血で塞がったようになり、眼がくらくらした。叫び声と足音は、いつまでも、すぐうしろに聞えた。道は暗く、灯のもれる家もなかった。御成り小路を横切るときに、うしろで呼子笛が聞え、彼は右へ曲った。はなれたぞ、と新八は思った。呼子笛の音は、かなり遠くで聞えた。三人をひきはなしたと思い、夢中で、枯れた草むらに蔽われた石段を駆け登った。そこは崖に付けられた石段で、片方から枯れた草や、灌木が蔽いかかり、勾配の急な石段は、稲妻型に丘の上へ延びていた。