후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면
彼は小野の館(陸前のくに桃生郡小野)を出て来たところで、いい気持に酔っているらしく、歩きながら唐詩を微吟したり、鼻唄をうたったりしてい、腰の両刀が重たそうに見えた。時刻は午後二時、――山根という処へさしかかったとき、うしろから追って来る者があった。七十郎は振向きもせず、追って来た者は二度も三度も、高い声で呼びかけた。
「相変らずだな」と七十郎は聞えないふりをしながら、こう呟いて微笑した、「相変らず、こらえ性のない、老人だ」
「おい、聞えないのか」とうしろで、走りながら、どなった、「おれだ、少し待て」
七十郎は足を停めて、ゆっくりと振返った。里見十左衛門が、そこへ追いついて来た。旅装のままで、右手に笠を持っていた。
「なにをそう慌てる」と七十郎が云った、「道はこのとおり一筋、おれの姿は見とおしだ、そう駆けなくとも追いつくではないか」
「いま、館へいったのだ」と十左は喘ぎながら、七十郎と並んで歩きだした、「すると、石巻へでかけたというので、そのまま追って来た」
「慌てなくとも追いつけたさ」
「石巻へなんの用だ」
「里見老はなに用だ」
「なんの用があって石巻などへゆくんだ」