후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면
「舌の達者なやつだ、怒らせる気だな」と五郎太が遮った、「その手はくわぬ、抜きたくなければ抜くな、ゆくぞ」
「力いっぱいやれ、来い」七十郎は他の二人を見た、「そっちの凉軒と名なしの兵六もゆだんするな、いつこの棒がとんでゆくかわからないぞ、いいか、ゆだんするなよ」
七十郎は棒をゆらゆらさせた。五郎太が刀を上段にあげ、凉軒が槍を構えた。もう一人は刀の柄を握ったまま、陰気なような眼つきで、七十郎の足の動きを見ていた。――そのときにわかに風立って来、ちらちらとこまかい雪が舞いだした。ひろい刈田の上には、明るく日が照っていて、その明るい日光にきらめきながら、粉雪はかなり激しく、かれらの上に舞い落ちて来た。
七十郎の手で棒がゆらりと動いた。つんざくような叫び声が起こり、大藤五郎太が斬りこんだ。五郎太の刀は空を打ち、七十郎の棒は凉軒の額を打って、次に三人めの侍に躰当りをくれ、三転して五郎太の右腕を打った。七十郎の躰はかれらのあいだをすっすっとぬけるように見え、その棒は直角に三度ばかりひらめいただけであった。
凉軒は額を押えて棒立ちになり、五郎太は刀をとり落し、右腕を抱えて苦痛の呻きをあげ、他の一人は刈田の中で尻もちをついたまま、陰気なような眼つきで、惘然とこっちを見ていた。