후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면
甲斐はまた茶をすすり、それを置いてから、一つお願いがある、と話しを変えた。
「寺池さまとの地境の争いですが、これを譲歩して頂きたいのです」
「このまえにも譲歩したぞ」
「もういちど、お願い申したいのです」と甲斐は云った、「去年のことですが、江戸で寺池さまが私に訴え、一門の面目からもあとへはひけぬ、と申しておられました」
「一門の面目をいえばおれも同じことだ」と安芸が云った、「このまえのときにも明らかに不当な申し分で、感仙殿(故忠宗)さまの御威光をかさに着たやりかただった」
このまえの境論の要だけを聞いておいてもらおう、そう云って安芸は話しだした。
桃生郡西南の地を、一帯に「深谷」といって、そこに式部宗倫の所領の飛地があり、伊達安芸の遠田郡と境を接していた。――ここは寛永十七年の検地で、地境をきめたのであるが、それ以前から、深谷の農夫たちが涌谷領へ入りこみ、無断で新田を起こした。そのとき涌谷領の者が黙っていたので、そのまましぜんと深谷方の勝手にされ、式部の所領に加わってしまった。
そこでようやく、涌谷領遠田郡の者が、違法である、と云いだし、安芸も人を遣って、草萱用水の境を明確にしようとした。